万華鏡の世界

自分と自分と時々君

「名刺代わりの本10選」タグの本の紹介

 Twitterで#名刺代わりの本10選というタグで本を選んだので、簡単に紹介したいと思う。必ずしも好きであるとか、自分の本質的な部分と関係があるわけではないけれど、自分を説明する上で必要かなという本を選んでみた。

はてしない物語』/ミヒャエル=エンデ
星の王子さま』/サン=テグジュペリ
ブラームスはお好き』/フランソワーズ・サガン
『愛人 ラマン』/マルグリット・デュラス
『黄色い目の魚』/佐藤多佳子
セロ弾きのゴーシュ』/宮沢賢治
『山羊の歌』/中原中也
まど・みちお全詩集』/まど・みちお
『音楽美学』/野村良雄
『楽器の音響学』/安藤由典


はてしない物語』/ ミヒャエル=エンデ

 読書を始めて間もない頃(といっても小学生だが)に出会って、初めて感動した物語がこちら。『モモ』も面白いけれど、物語として圧倒されたのは『はてしない物語』だと思う。読書にハマるきっかけもこの本であり、自分もこんな物語を書きたいと強く願うきっかけにもなった。本の詳細を書くことは別の機会にとっておきたいので内容にはあまり触れないでおく。


星の王子さま』/ アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ

 昔から存在は知っていたけれど読んだのはごく最近で、たしかYoutubeの本の紹介動画を見て興味を持った。読んだらすごく良かった。エンデと比較するとどことなくフランスっぽさを感じるような本で、一つ一つのモチーフの象徴性を考慮しながら読み進めていくと奥深い味わいがあった。一つの星を人の心として読むなら、薔薇やバオバブの木は、愛や二次的なネガティブな感情となり、そういったものとどう向き合うべきか考えることが可能で、弟が原語で読むほど好きなわけもなんとなく察した。

ブラームスはお好き』/ フランソワーズ・サガン

 大学生のときに久しぶりに読んだ小説がサガンだった。『悲しみよ こんにちは』を先に読んで面白かったので、次にこちらを読んでみたけれど、物語としてはこちらの方がより共感できた。今となってはあまり覚えていないのだけど、繊細な感情描写が印象に残っている。パリの雰囲気も文章から感じ取れて良かった。他人からすれば些細な出来事にすぎないことをドラマティックに描いているような小説で、すごく味気ない言い方をすると、お洒落な昼ドラだな~などと思っていたのだけど、昼ドラよりも良いので読んだことがない女の子にはおすすめしたい本。

 

『愛人 ラマン』/マルグリット・デュラス

 こちらも大学生のときに手に取った小説だった。文体が強烈に印象に残っていて、コラージュ写真のように断片的な映像が組み合わさってできているような不思議な感覚になった。恋愛というより家族の話という記憶があるけれど、内容はあまり覚えていない。

『黄色い目の魚』/ 佐藤多佳子

 「正しい日本語」のような文章しか当時読んでいなかった私にとって衝撃的だったのがこの本だった。流行りの現代の小説をそれまで読んだことがなかったので、文章なのに言葉遣いがかっちりしていないことに本当に驚いてしまった。好きとか嫌いというより、この本がきっかけで書くことについてより考えるようになった。青春小説はあまり好まないし、人に薦めようとは思わないけれど、佐藤多佳子さんの本を読むとほっとする。たまに読み返したくなる人の本。

セロ弾きのゴーシュ』/ 宮沢賢治

 こちらの文庫本を購入して児童文学として最初は読んだが、先生曰く賢治の作品は詩だと教わってから「詩とはなんだろう」と考え始めた。精読したのは「風の又三郎」だけど、音楽的なことやさまざまな「あいだ」にいる主人公に触れられた「セロ弾きのゴーシュ」の方が好みだった。詩〈ポエジー〉についてはまだ詳しく知らないし、未だに考えているけど、おそらく18世紀頃のドイツ・ロマン主義の美学と関係があるように思う。

『山羊の歌』/ 中原中也

 NHKの100分de名著で知った詩集。詩も好きだけど、なぜか中也の人柄が大好きになってしまった。一通り読んでも、また読みたくなるくらい彼の詩が好きで、上手く説明できないぐらい良い(『はてしない物語』も大好きだけど良さの説明が困難)。手元に置いておきたい詩集。

まど・みちお全詩集』/ まど・みちお

 小学生の時に教科書に載っていて、もっと読みたくなったのですぐに借りてきて夢中で読んだ思い出。まど・みちおさんの生き物や自然の詩が本当に好きで、かなり影響を受けた気がする。優しい気持ちになれる。

『音楽美学』/ 野村良雄

 「良い音楽ってなんだろう」「音楽とはなんだろう」という素朴すぎる問いを抱えていた頃に出会った本。本当に出会えて良かった。音楽美学について語れるほど勉強はしていないけれど、この著者の本をきっかけに私の音楽についての考えは深められる準備が整ったと思う。

『楽器の音響学』/ 安藤由典

 まだ読み終わってないけれど、音響学関連で持っている本がこちらだったので選んだ。音響学もまだまだ不勉強だけど、やっていてとても面白いので自分を説明するのには必要だと判断した。音楽が好きである以前に私は楽器の音が好きなので、楽器の音について音響学的に理解することはかなり重要だと思っている。

 

 以上選んだ10冊の本の紹介でした。5年後、10年後どんな変化があるのか今から楽しみで仕方がない。